■第2部 座談会
津森 それでは、第2部の座談会を開始させていただきます。司会の方は、『消費者ネットしまね』の副理事長をしております、弁護士の津森の方で務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
それでは、まず登壇者の方のご紹介をさせていただきます。本日は、先ほどご講演いただきました夏原さんの他に、地元浜田の方から2名の方のご登壇をいただきます。まずお1人目が、真ん中にお座りいただいております、浜田市の周布地区で民生児童委員をされておられます、村井栄美子さんとなります。よろしくお願いいたします。続いてお2人目が、島根県立大学の2年生で、『しまね防犯サークルSCOT』に所属しておられます、渡辺ゆう奈さんです。よろしくお願いいたします。
では2名の方、それぞれ簡単に自己紹介をお願いしてよろしいでしょうか。では村井さんの方からお願いいたします。
村井 私は、浜田市周布地区民生児童委員協議会の村井と申します。民生児童委員を受けて4期目に入りました。私は、地域でサロン活動、福祉に関するボランティア活動などをしております。少子高齢化はどこも同じだと思います。浜田市で、また周布地区におきましても同じことが言えると思います。
津森 詳細の報告はまた後でいただきますので。自己紹介は今のでよろしいですかね。では、渡辺さんの方に簡単に自己紹介お願いしていいですかね。
渡辺 ご紹介いただきました、島根県立大学地域政策学部地域公共コース2年の渡辺ゆう奈と申します。『島根防犯サークルSCOT』というサークルに所属しておりまして、そのご縁で今回この講演会の方にお呼びいただきました。よろしくお願いします。
津森 ありがとうございます。それでは、本日の座談会の趣旨をまず私の方が説明させていただきます。本日第1部の講演におきましては、消費者被害の実情と被害防止のためのヒント、その中で繋がりが大切であるというところを学んでいただいたかと思います。この第2部では、被害防止のための見守り活動が重要ではないかという観点から、地元で活動しておられますお2人をお招きして、見守り活動など被害防止のための話をさせていただいて、今日ご来場いただきました皆様が1つでも気づけられるような場にしたいと考えております。
座談会の進行になりますが、まず村井さん、渡辺さんの方から、それぞれが現在行っておられます活動をご報告いただきます。私の方からも、弁護士として活動しておりますので、その活動について報告をさせていただきます。その後、3名の報告の後、夏原さんよりコメントをいただきたいと思っております。その後は、登壇者4名でざっくばらんに話を深めることができたらいいかなと思っております。
第2部に関しまして、登壇者の方に1点だけルールを設けされていただきますけれども、お互いの呼び方につきまして、○○先生とか○○様ではなく、○○さんに統一でお願いいたします。それでは内容に入っていただきたいと思います。それでは、まず村井さんの方から、活動報告を5分程度でお願いいたします。
村井 先ほどもちょっと触れましたけど、サロン活動をしたり、地域で福祉に関するボランティアの活動をしております。民生委員として何ができるか日々考える中で、少しでも地域に役立てるようにと『チームオレンジ』、浜田市がやっております『チームオレンジ』を、『チームSOS』として立ち上げております。地域での、認知症の方やその家族、またその高齢者の方の支援をしていきたいと思い立ち上げました。今その事務局も受けて活動しております。私たちが行っている活動は、まず声かけ、訪問活動、その中で不審事案に気づくことがありますので、それを警察やいろんなところに繋いでいくっていうような活動をしております。私たち民生委員は、交通安全、詐欺アドバイザーを受けて活動しております。月1回の定例会では、困難事例の検討会をしたり、意見を出し合って解決できない時には、包括、行政、警察に繋げるようにしております。その会には地域の駐在所の方も参加してくださいます。いろいろアドバイスも頂いております。いろんな問題が起こる前に少しでも役に立てばと、1人でも悲しい思いをすることなく、地域で自分らしく暮らしていることを願って活動しております。向こう三軒両隣、声かけ、緩やかな見守り活動を、私たちも負担にならない感じで活動を目指しております。このような活動を日々続けております。
津森 ありがとうございます。続いて渡辺さんの方から報告をお願いいたします。
渡辺 はい。『島根防犯サークルSCOT』についてなんですけれども、本サークルは2009年10月に発生した県立大学生が犠牲になった事件をきっかけとしまして、2年後の2011年に発足いたしました。現在27名、1年生から3年生が在籍しております。主な活動としましては、毎週火曜日と木曜日の2日に行う県大周辺、主に1年生が生活している学生寮と、留学生と2年生以降の学生が生活している国交館の方を重点的にパトロールしております。不定期にはなるんですけれども、浜田警察書と合同で防犯啓発活動や市内のパトロールも行っています。昨日ですね、『ベルガロッソ』さん、サッカーチームの方々と浜田警察署の方々と一緒に歳末特別警戒としまして、呼びかけを伴うチラシ配りと合同パトロールの方を行いました。また、毎年10月26日に『命と安全の日』というのがございまして、それに合わせまして市役所と共同して『浜田灯し』という催しを開催しています。今年も行いました。令和2年に『内閣府特命担当大臣表彰』、翌年に『安全安心なまちづくり関係厚労者内閣総理大臣表彰』の方を受賞しております。以上です。
津森 はい、ありがとうございました。続いて私の方から少しお話しさせていただきたいと思います。
私ですけど、普段は出雲市の方で弁護士をしております。弁護士としては5年目になるところでございます。普段通常業務を行う中で、消費者被害、詐欺被害のご相談もありますけれども、我々が扱ってる相談の中でものすごく件数が多いかとなると、そこまでの件数の割合にはないという感覚です。おそらく原因といたしましては、消費者被害については金額が少ない事案がそれなりにあると思いますので、そういった事案はなかなか弁護士までには上がってこないというような実情があろうかと思います。
他方で、年に数件ほど弁護士案件として上がってくるものがございますけども、事案でいきますと、被害金額が100万円を超える事案、今年受けた事案で最も大きかったのが3000万円騙された事案がありました。そういった大きいものも県内ではあるというようなところにあります。
最近感じることといたしましては、4、5年前であれば結構詐欺の会社とかが使っていたのが、決済の手段としてクレジットカードを使わせてお金を騙しとるというようなところは、結構使われていたんですけれども、クレジットカードの場合は、後で詐欺に気づいた場合に、クレジットカード会社等に連絡をしてキャンセルや返金を受けることができたんですけども、それが最近になってクレジットがあまり使われなくなって、何に変わっているかというとですね、被害に合われる方にサラ金、消費者金融ですね、ここでお金を借りさせて、それを振り込ませるというような事案が増えています。かなり増えているような実感があります。それで留まっていればいいんですけれど、今どうやってさせているかというと、スマートフォンに遠隔操作アプリというのがあって、それをまずインストールさせる。サラ金、消費者金融はスマートフォンがあれば全部ネットで借り入れまでいけるので、遠隔で操作をして借り入れをさせて、インターネットバンキング、持ってない場合それも口座を作らせて、それで送金をさせるっていうのが少なくない数相談がございます。被害でいくと、その人が借りられる限度額いっぱいまで借りちゃうので、200万、300万というのがざらにあるような形になっています。そういった被害が今増えているなという実感があります。
この消費者被害と弁護士の関わりになるんですけれども、私が言うのもあれなんですけども、弁護士に頼むと安くはないんですよね。安くないので、先ほど夏原さんの講演にもあったんですけども、詐欺にあった時にお金が返ってくる可能性っていうのがなかなかない、ほぼないと思っていたらよくて、そうなると、追加のお金を出して弁護士に頼むというのがなかなか難しい方が多いですし、「ちょっと難しいですね」とご助言をすることが多い。というのが実情で、そこの辺が悩ましいなと感じてるところです。そうした事案で考えますと、消者者被害については、被害を出さないという事前予防がかなり重要になってくると考えておりまして、今私『消費者ネットしまね』の副理事長をしておりますけれども、『消費者ネットしまね』が目指しているところといたしましては、適格消費者団体というのがございまして、なかなか聞いたことのない方が多いかと思いますけれども、内閣総理大臣が認定する団体のことを言うんですけれども、適格消費者団体になると、悪い業者が不当な契約であったり、勧誘している時に「それやめなさい」という請求、裁判とかができるような団体になっています。この団体が全国に25今あるんですけども、島根県内にはありませんので、この団体になって、島根県内での消費者被害の保護ですね、この中核団体になろうというところで日々活動しているところでございます。私からの報告が以上になります。
それでは、今3名から報告をそれぞれさせていただきましたが、夏原さんの方から一言コメントをいただきますでしょうか。
夏原 それぞれ大変大切なご活動だと思います。
あとはですね、活動内容の広報であるとか、広がりの部分というのを今後どうされていくのかなっていうのが、私としてはちょっと気になるところでして。どうしてもそういう活動をしていくと、活動はしっかりやっているんだけれども、報告という意味で言うとちょっと内向きであったりとか、広がりが足りなかったり。そもそも、「そういうのがあるんだ」というようなレベルの認識であることが多いんですよね、こちらだけではなくて。ということを考えていきますと、消費者センターなり行政なりとの連携によって広報活動という部分での広がり、もちろん二方がやられていること、津森さんを含めてとても大切なんですけど、そもそもがそういうことがあるということがまずは広がらないといけない。そしてそういうことがある、その上に適格者があるということになると、やはり業者側も気をつけてきますんで、それ自体が縦になる可能性があると。やられたことの報告というのは、自分の仲間や近い人ではなくて、県内全域に伝わるぐらいの気持ちで伝えれば浜田市内で大きく広がっていくでしょうし、そしてそういうのがあるんだということが業者側への刺激抑制にもなりますし、「訴えるかどうかわかんないけど相談してみようかな」みたいな気持ちにも繋がっていくんで、僕はその辺りを期待しています。はい。
津森 ありがとうございます。
この後ですけれども、フリートークという形で、4名様々活動しておりますので、話を広げられたらいいかなと思っております。発言順序は問いませんので、聞いてみたいとか、発言したいというところがあったら順次していただけないかなと思います。
まず私の方が口火を切らしていただくんですけども、先ほど広がりをどうするかで夏原さんからコメントをいただいたんですけども、今村井さんの方で、今の活動の広がりをどうしていこうみたいなところでやっておられることとか、考えておられるところがもしあれば、ご紹介いただきたいと思いますけど、その辺どうですか。
村井 そうですね。民生委員って14名いるんですけど、民生委員の活動が不足というのではなくて、民生委員の中には「何かやりたいな」「自分たちでも何かできるな」という情熱的な方が数多くいられて、そんな時に地域包括会議というのが私たちのところであります。そんな中で、認知症さんが困っておられる、そういう詐欺にあったかどうか分からないんですけど、あってはならないという形で、行政が指導する『チームオレンジ』というのがあるんですけど、認知症さん対策、「そこに私たちも手を突っ込んでみようじゃないか」「首突っ込んでみようじゃないか」というので立ち上げたのが『チームSOS』。認知症サポーター、ステーションを立ち上げて、今当事者、家族、それから私たち14名も入っていますし、地域の駐在所の方、警察の方、市会議員さんも含め、人権擁護委員さんも含めて50数名の方で今輪を作って周布地区で活動しておりますけど、本当はこの活動が浜田市全域に繋がればいいなという形で今手を取り合って活動しております。それが今、そういう私たちのコミュニティはできてるけど、これがもうちょっと地域全体に広がるように、1ヶ月ないし2ヶ月に1回は会合を開いて、発信していく、情報を得ていくというような活動もしております。
津森 浜田市には地区としてどれぐらい、周布地区にあるんですかね。
村井 周布地区、■■地区入れて3000ちょっとの人数ですね。所帯で3000。
津森 エリアの数としては何箇所。
村井 エリアの数は結構広いですね。周布、■■地区ですから。周布地区、日脚地区、かなりありますので、結構広い地区です。14人の民生委員で活動しているんですけど、それではちょっと目が行き届かない。1人の方が持っている所帯が、多いところで400何所帯。私が持っているとこで326所帯。となると、どうしても1人では無理です。というので、そういう地域の力を借り、私たちに協力してくださる方を巻き込んで、手と手を繋ごうかっていうので、私たちはみんな丸い輪で繋がるっていう形で今活動しております。
津森 ありがとうございます。他の地区にそういうことをやろうみたいな気運はまだないんですかね。
村井 声はかけていただくんです。「どうやったらできるの」と聞かれるんですけど、やはり1人では絶対無理なんです、こういうコミュニティを作っていくというのは。たまたま私たちのところは民生委員さんの情熱がすごくあるもんですから、「なんとかなるよ」「なんとかしようや」「私らならできるんじゃない」という思いが1つになったというのが1番の大きな力だと思います。皆さん声はかけていただくんですよ。「どうしたらできるの」という。だけど、「やろう」っていう人が今まだいない。国分地区に1つできてるんですけど。でもそれは、病院との関係の認知症さん対策だけで。そういう地域に下りてというのは、今浜田では1つだと思います。
津森 ありがとうございます。渡辺さん、今サークル活動やられてると思うんですけども、学内、例えばサークル内でやってて、「こういうこと注意した方がいい」と他から聞いたとして、それを学内で広げるようなシステムとかあるんですかね。活動とか。
渡辺 学内というとあんまりそういうのはちょっと機会としてないかなと思うんですけど、一応Twitterの方運営してるんで、なんかあったらそこからの発信などはしてるかなと思います。
津森 発信する情報としてはどうなんですか。どんな情報を今発信されてるんですかね。
渡辺 大体はパトロールの報告であったりとか、その時その時に警察署の方々となんかした時に聞いたお話であったりとかって感じですかね。
津森 ありがとうございます。その他も自由にご発言していただいていいですけど、何かございますか。
村井 やはり、こういう詐欺とかっていうのは近所でもかかりかけられた人もある。っていうのは、若い人が結果かかられるのかなっていうような感じで、本当に近所の方だったんですけど、旦那さんが交通事故でお腹の大きい人と事故してしまった。「今警察におります。今旦那さん興奮しとって電話がかけられないの。でも相手の方は示談金を払えばいいよって言っとられますので、すぐ振り込んでもらえませんかって」っていう金額がお嫁さんに来た。お嫁さんは慌ててキャッシュコーナーに行かれました。その時に家におられたおばあちゃんが、すごくパソコンとかスマートフォンに堪能な方でして、「ちょっと待って。うちの息子は今日はこっちにはおらんはずだ」っていうのですぐお嫁さんにLINEをされて、振り込む直前にストップされたいうことはありました。だから、やはり家族が繋がるっていうのはとっても、今日先生のお話も聞いて大事だなと思いました。そういう小さな繋がりが、地域に全部繋がればいいんじゃないかなって今日お話を聞かせていただきました。
津森 繋がりで別観点になってるんですけど、裏社会の繋がりで夏原先生もし分かれば教えていただいんですけど。よくですねえ、先日ご相談を受けた方で、破産で受任したんですけども、不動産をさっき住宅用だよって借り入れをしたんだけど投資用だったというところで、一括返済を求められて払えないので破産だという方がおられたんですけども、その方は競馬の絶対当たる情報を与えますよっていう詐欺にもかかっておられて、それでも数百万払っておられたんですけども、そういう今名簿屋さんって言うんですかね、ああいう裏社会での名簿のやり取りとか繋がりという、あの辺もし情報があれば教えていただきたいんですけど。
夏原 名簿屋ってのは今でも当然ありまして、個人情報保護法ってのがあるんですけれども、学校のアルバムであるとかそういったものを統合するというのをベースにはしているんですけども、実は個人情報というのは、皆さんが勝手にいつの間にか配ってるというパターンが多い。それは、例えば「アンケートに回答してくれたらクオカードを差し上げますよ」とか、「粗品を差し上げますよ」みたいなものについつい答えてしまう。今はどうかちょっとわからないんですけど、いわゆるオーディオショーとかAVショーみたいなものが開かれると、そこに来場した人のデータというのは大変重要なんですね。本当に粗品を渡すだけでみんな書いてくれる。そしてそれを元に名簿が作られていって、そして電話がかかってくるというような流れになっている。ま、それを買い集める名簿業者がいて、東京だと新橋っていうところに名簿図書館っていう有名な業者がいます。名簿屋の特徴というのは、簡単に言ってしまうと、膨大にあるということではなくて、非常に選別されていると。例えば資産がいくら以上の名簿とか、家族構成で分けてある名簿とか、地域で分けてある名簿とか、持ち家なのか、賃貸なのかとかいろいろ属性で分けてあるんですよね。それを元に特殊詐欺の電話がかかってくるわけで。やはりですね、人間はやっぱり悲しい生き物で、500円のクオカードで個人情報を出してしまうと。それを防いでいかないとですね、我々の個人情報を防ぐというのは、本当に難しいっていうのが取材してるとそんなの多いですね。
津森 裏社会の人間たちも、容易にそういう名簿が手に入るような状況にあるんですかね。
夏原 そんな高いもんでもないですし、それから要は実績名簿ってのがありまして、これは通信販売とかを実際に利用した人の名簿、こういうものが流れてくる。悪質な業者から1回でも取引をしますと、そこからの名簿が業界中に回っていきますんで、次々と連絡が来るようになる。詐欺で騙した相手の名簿というのもちゃんと作られていて、詐欺界隈では1回騙された人は2度騙されるというのが常識になっているんですよね。だから昔流行った訪問販売なんかでは、羽布団なんかを買うと、次は空気清浄器屋が来る、浄水器屋が来るで、次々と繋がっていく。これはもうある種業界の常識で、詐欺師のみならず、一般的な通販業者も名簿交換とかを勝手にやってます。これはおそらく個人情報保護違反に当たると思うんですが、残念ながからそういうことも行われている。名簿流出っていうのは事件として報道されますけど、そもそもが名簿は流動してしまってるっていうことの方が、僕は結構大きな問題じゃないかと。すぐ隣、お隣の隣ぐらいか、岡山県には某ベネッセという会社がありますけど、名簿流出で有名な会社ですけど、ああいう業者がやっぱりどうしてもその辺の情報保護っていう意味でセキュリティが弱かったり。でもその情報の元になっているものを出してるのは皆さんだっていうことも忘れずに。最低限の情報以外は書かないと。アンケートなんかでも、持ち家だとか、年収だとか、そんなものはそもそも書く必要ないわけですよ。もしそんなことを書く欄があったら、その業者は怪しいと思って、住所と名前と電話番号程度でいいはずなんですよね。なのに、なんで家族構成とかあるんだっていう。「あんた警察か」みたいな名簿が出回るわけですけど、その辺ではやっぱり本当に500円に誘われてとんでもないことになるっていうことは忘れないで欲しいんですよね。
津森 ありがとうございます。私も仕事をしていて最近よく思うのが、消費者被害としてトピックだけを相談する案件は多くないんですけども、消費者被害を見つけるタイミングが多くあるのが、破産をしている人の債権調査でよく判明することがあるんですよね。破産を裁判所に出す時に、この借金は何に使いましたかってのを報告することになってまして、聞いていくと副業詐欺に遭いましたと。遭った後に返ってこないので弁護士に相談したら、「着手金返ってきませんでした」「弁護士は実在しないものでした」とか。そうこうしてるうちに他のところから電話があって、「あなた破産しようとしてるかもしれないけど、お金貸せますよ」とかですね。「ただそれ貸すためにはちょっと手数料払ってもらわんといけんね」って次々に騙される方ってのが少なくないんですよね。そういうお金に困っているっていう心理を利用して、それが名簿業者に流れて、次々に騙されて。お金取る側もクレジットで切らしたりとか、お金を新規に借りさせて振り込ませたりするので、お金回収しちゃったりというところがよくあってですね。そういうところを見ると、名簿とかも容易に回ってるんだろう、なんてのが日々実感するところです。ありがとうございます。
それではトピック変えさせていただいて。マルチ商法について結構お話いただいたんですけども、大学生とか若い方が被害に合う実情ってどうですか。夏原さんありますか。お話として。
夏原 そうですね。ずっと続いてるんですよね、マルチとかっていうのは。最近話題の統一協会なんかもそうですけど、もっぱら大学生がターゲッティングされていくと。それはさっきもちょっと申し上げたように、やはり今までと違う環境にいきなり来た不安感とか仲間づくりっていうところでくる。東京だとやっぱりアムウェイ、ニュースキンっていう2大巨頭が圧倒的ですけど。その辺で大学生がいつの時代もターゲッティングされていて、ちゃんとした大学というのは学生課あたりがそれも広報したりするんですよね。「サークル勧誘にご注意」とか、「こういうサークルは大学とは関係ありません」みたいなこともあったりとか。これはもう大学側の問題なんで、やっぱりその辺の実態って意味で言うと、渡辺さんの方が詳しいと思いますよ。はい。
津森 その辺どうですか?渡辺さん。
渡辺 そうですね。うちに限って言うと、サークル自体が、というか単純にうち学校がそんな大きくないので、キャンパス3つに分かれてますし。だから、正直言っちゃうと、入学式の時にある新入生歓迎会で、サークルはみんなお披露目されるんですよ。冊子に乗ってたりするから。だから、それ以外は、「そうだね、関係ないね」ってなったりしますかね。はい。こんな感じで大丈夫ですかね。
夏原 その大学の規模ですよね。東京の場合、何千人、何万人みたいな大学になると、ほとんどの人を知らないっていうことから、疎外感があったり、渡辺さんみたいにそういうことやられるというような積極性のある人はいいんですけど、消極的な人は、やっぱり友達が欲しいみたいなところから気づいたらマルチだったみたいなパターンが多いんで、僕は東京なんかの大学とかで話する時は、まず「そこを注意してね」っていう話になりますね。
津森 お友達とかで聞いた、マルチに引っかかったみたいな話はないですか?
渡辺 そうですね。そんな大きい話は。ちまちました話だったら、メールとかがやっぱり。それこそあれなんですよ。今そういうちょっと目立ったやつとかって、さっき何でしたっけ、それこそ自分に利がありますよみたいなのって、逆にネタ的な感じになっちゃって、意外と引っかからないよみたいな感じの空気あるんですけど、すごい生活に密着した迷惑メールみたいなのが届くことがあるんですよ。それこそ不在届けのなんとかみたいな。ヤマトだったり佐川だったりを語ったみたいなだったり。あと携帯料金の滞納みたいな。私にも来て、「えっ」て思ったんですけど、よくよく考えたら学生の期間は親が払ってくれるって言ってるから、私のところに来るわけないなと思って。
1番嫌だったのは、国税調査って言って電話かかってきて、何も知らないから打っちゃったんですけど、調べたら「そういう詐欺あるよ」ってなって、「ええっ」てなったり。そんな感じですかね。
津森 結構身近に詐欺があるんですね。そうするとですね。うまくあしらっておられますね。
村井 結構あると思いますよ。近所でも、夜8時過ぎてから投資会社から、投信会社ですね、そういうのがあって、「私そんなお金つぎ込んだことないのになんでそういうのあったんだろう」って。「すぐ警察に電話しなさい」って言ったら、「全部削除してください」って言われたっていう。やはり1人になられたっていうのが、旦那さんが亡くなって、どこでそういう情報が入るんかなっていうのが。そういうのがちょっと不審。その人もかなりのネットで買い物しとられる方なので、「やっぱりそっちの方からかな」って後から思ったんですけど。やはりそういう住所が全部残るっていうのは、不安だなっていうのは少しありますますよね。でもそれは、やっぱり私たちが声かけて、「出ないように」「消すように」っていうのは広げていかないいけんなと思ってます。
津森 村井さん、見回り、声かけされる中で、ご高齢の方が騙された事案とかってどんな事案が多いんですか?
村井 騙されたっていうか、情にほだされたって言うんかな。配置薬がありますよね。配置薬で、薬は普段飲まれるんだろうけど、ドリンクみたいなのを家にずっと積んでおられるんですよ、行ったら。「どうしたんこれ」って言ったら、「毎月1箱持って来られるんよ」って。「あんた飲みなさいや」って言うけど、「おばちゃんこれいつの」って言うと、「わからんて」っいう感じで、かなり積んでおられて。私が電話しても相手に馬鹿にされるかなと思って、主人を呼んで来て、主人から電話して「すぐ取りに来い」って怒鳴りあげたら、男の人って怖いんでしょうね、すぐ取りに来られまして。「絶対もうこんなところに置くな」って。それからは置かれないようになったんですけど。やはり高齢者だと思うと、本当に真面目な仕事をしておられるんでしょうけど、自分の売上を増やすためには置いて行かれる。薬は持って帰らないといけませんので、日にちが来たら。でも、ドリンクはそのままで、請求書、請求書、請求書なんですよね。そういうのはありました。
それと、テレショップ。高価な鍋を買われました。で、旦那さん曰く、「この鍋使いやへんけいらんだろうが」って言ったら、「いります」ってこうされるんですよね。「いりますって、お前使えやへんだろうが」って言われるけど、「いります」って言って階段の下に置いておかれる。で、次訪問すると、「鍋どうした」って言うと、「絶対離さんにあいつが」。次行ったら、また同じものが積んであるんですよね。「あれ」って思ってちょっと会話をしてると、「あれ、これって大変申し訳ないけど認知入ってるんかな」ってそん時思って、すぐ包括に繋いで調べてもらったら、かなり進んでたっていうのがありますね。そうした時に、もうそれはかなり日にちが来てるから、クーリングオフできなかったんです。「しょうがないけ、娘にやるわ、息子にやるわ」って旦那さん言われたけど、やはり認知が多少来ててもテレビで電話をかけて、「送ってください。はい現金で払います」って言えば、それで荷物を送ってくるんですよね。そういう時にはもうどうにもならない。それをずっとこうやって、「絶対に必要です」って言って渡されないっていうのが、やっぱり訪問しないとわからない、声かけしないと分からないいうのはすごく感じました。そういうのは1件でもなくしたいなと思ってます。
津森 そういう認知が疑われる人がおられた場合に、包括に繋いで、あと包括の方が後見人とかを検討する。その後の流れはどうなっていますか?
村井 はい。後の流れはやはり地域で見ていかれる方は、『SOS』で見ていきます。繋がります。で、結構きついなっていう方は、家族さんとの関係でグループホームに入られたりだとか、いろいろ行政が入ったりしますけど、できる限り見守りという形で見ていこうっていう、今の『SOS』の考え方です。少しでも地域で暮らしていって欲しいなっていうのが、私たちのメンバーの考えです。
津森 ありがとうございます。
その他各自ご質問とかあれば順次言ってもらっても大丈夫です。ございますか?
じゃあ、渡辺さんに私、1ついいですかね?さっき夏原さんの講演の中で、お金の使い方とか、稼ぐことの大切さは親から聞くのが必要だというところで、渡辺さんはご両親とお金の話とか副業とか投資の話とか、そういうお金にまつわる話をすることってありますか?
渡辺 そうですね。今離れちゃってるから直接顔合わしてとかってのはないんですけど、こっち来てから言われたのが母に、「クレジットカードを作れるようになったでしょう」って言って、「こういうのがあるから気をつけなさいよ」ってニュースサイトの記事とかっていうのを貼ってもらって、「へえ」って思ったりもしたんですけど。「投資は気をつけな」って言われたけど、「読んでもよくわかんないからいいや」ってなったりしましたけど。そうですね、そんぐらいですかね。やっぱり身近なのはクレジットカード周りなのかなっていう。
津森 今まで学校とか、この大学でもいいんですけども、投資とか副業とかについて、詐欺とかじゃなくて真っ当なものについて学ぶ機会とかってありました?
渡辺 そうですね。学校では、とっている授業によっちゃうのかな?私はあんまりそういうのは受けなかったかなって。大学に来てからは、そうですね。そんな感じです。
津森 投資詐欺の話をしていきたいんですけども、私今年受けた、今年だったか去年だったか忘ましたけども、『フリッチクエスト』ってご存知ですかね。代表が逮捕された大きな投資詐欺被害があったんですけども、そこがうたっていた利率が月利4%、年率で48%となるのでありえないんですけども、『ポンジスキーム』ってやつで、先に騙された人の分を新しく入ってきた人にパーティーとかで見せて、すごい儲かってるのを見せると。実際『フリッチクエスト』とかが使っている名刺とかを見せてもらったんですけども、ちょっとかっこいいんですよね、名刺が。勧誘する人も別会社の投資コンサルっていう体で、かっこいい横文字の名前の会社を作っておられて、「これ儲かる」と、「これ乗っとかないと損する」という形でやると。騙されてるのは若い人で、公務員さんだったんですよね。別に学歴が低いとか、問題がそういう人じゃなく普通の公務員さんで、ただお金があったので借り入れができちゃって、1000万円以上取られたという事案があって。渡辺さんとか若い方で、年率何パーぐらいが投資として大丈夫なんだろう。そういうの聞いたりとか学んだりとかありますか?
渡辺 そうですね。あんまり投資とかって話に、そんな踏み込んだ話にならない。だから本当に学生が知らない間に触れてそうなもの、リボ払いとか、NISAの話もちょこっと入った気もするんですけど、そんな年利とかって話にはならない。多分コースが違う、経済・経営とかっていうのがうちにあるんですけど、そっちのコースの子とかだったら知ってるのかなって思うんですけど。すいません。なんかはっきりしなくて。
津森 ありがとうございます。夏原さんにお伺いしたいんですけども、岸田政権で資産所得倍増計画みたいな、NISAを広げたりとか、投資しましょうみたいな気運が今あると思うんですけども、やっぱり詐欺業者が目をつけて広がってるっていう流れですか?
夏原 そういう系統で言うと、小泉内閣の時、痛みを伴う改革っていうのをアピールしたんですけど、何が起きたかって。僕東京にいたんで、東京都の金融局行って調べたんですけど、登録業者が3倍ぐらいに増えたんですよね。つまり、痛みを伴うっていうのは、「皆さんの責任でお金を借りてくださいね」という話ですよね。それと同じように、政府が投資をやりましょうなんていう馬鹿げた国ってあんまりないんですけど。ああいうことを言えば、当然ながら投資に対する関心は高まりますんで、そこを狙って詐欺業者は当然動いてますし、詐欺かどうかはまだ決まってないけれども、新興投資会社あるいは投資コンサルタント、そういう人間が増えてます。もし皆さんがどうしてもっていうことで知り合いとかの紹介で会わなきゃいけなくなった時、そういう人は「儲かって」って当然言います。場合によったら資産にも触れるかもしれません。聞いてください、「では、昨年いくら税金収めましたか」と。儲かってるということは、税金の額もすごいはずなんです。インチキですから、ほとんど答えられません。口ごもります。あるいは言ってる金額が出鱈目です。そこが1つの目の付け所です。これはマルチでも何でもそうです。儲かってるってやつに僕が必ず聞くことです。「じゃあ去年の納税額を教えてください」あるいは「課税証明書を見せてください」「納税証明書を見せてください」。これで大体逃げますから、彼ら。これが1つの僕は目安だと思っているし、皆さんにも覚えておいていただけるといいかなと思います。
津森 ありがとうございます。村井さん、声かけされる中で、高齢者の投資はあんまり聞かないですかね。投資詐欺みたいなところは。
村井 そういう投資詐欺っていうのは、最近ちょっと電話が入ってくるよっていうのは聞きますけど。まず、結構電話を、今警察が私たち民生委員のところで「ナンバーディスプレイをつけなさい」「こうすればナンバーディスプレイをつけてもお金がいりませんよ」っていうような、方向って言うか、そういうことを教えてくれてますのと、さっき先生も言われました、ナンバーディスプレイができる電話器を補助金を出してくれるわけですよね、今。「そういうのをつけてください」っていう形で。「自分の知らない人の電話には出ないように」っていうのは広報をして歩きますし。ですから、若い人との接点が少ないので投資というのはあまり聞かないんですけど、年寄りさんがたまにかかるっていうのは、亡くなった方、結局保険金が入ってるんかなって私自身思うんですけど、そういうとこに目をつけてメールを送って来られるんかなっとは思いますね。やっぱりスマホでメール送ってくるということは、スマホでなんか注文してるから履歴が全部残ってるんかなと思って。やっぱりそこは注意していかなきゃいけないな、広報して行かなきゃいけないなと思ってます。
夏原 今の話で言うと、昔は詐欺師っていうのは、新聞の死亡広報ってのはめちゃくちゃチェックしてたんですよ。
村井 ああそうなんですか。
夏原 それなりの人のしか載らないんで、そこの葬式にまず行ってみる。で、どんな属性の人たちが来てるかチェックする。じゃあ、自分はどこになりすましたら信用してもらえるだろうみたいなことをやって入っていく。大体詐欺師は新聞をよく読みますし、あと官報をよく見ます。官報には破産者が必ず載ってますから。破産した人ってみんなどっちかって言うと借金体質の人なんで。破産者対象金融っていうやつですよね。あれは、大体5万円借りると1ヶ月で15万ぐらい払わなきゃいけないんですけど。でも目先の5万円が欲しくて借りちゃうみたいな。で、そういう情報を、彼らはこまめにチェックしているってことは忘れない方がいいと思うんですよ。
投資に関しては、やっぱりお金を持ってない人から引っ張るのはちょっと難しい。さっき津森さんがおっしゃったような、サラ金から借りさせるっていうと、やっぱり2、300万が限界じゃないですか。もっとでかい、老後資金をがっぽり行こうっていう時っていうのは、持ってるか持ってないかの情報チェック。大体、日本で強盗事件が起きて、億単位の金が家にあってやられちゃう。これはもう明らかに情報漏洩なんですよね。
昔は、その情報を暴力団が握って、暴力団は実行しないで、外国人を使って強盗に入らせるっていう。ちょうどATMをユンボでひっくり返すようなことが起きてた時代は、そんな強盗が多くて。今も同じような情報を握ってんのが、さっき申し上げた闇バイトの首謀者たち。ただ、やっぱり時代というか、日本が貧しくなったのか、実行犯がみんな日本人になってるってとこですね。今外国の人はあんまり日本に来ないんですよ、働きに。安いですから。円安ですし。だから、これからは日本から出ていくっていうことで、日本人が海外で犯罪を犯すようなことが増えるかもしれないっていう恐ろしさを最近感じていますね。
津森 今、裏社会で闇の人間に関わってなんですけども、漫画を私読ませてもらったんですけど、『カモネギ』ですね、読ませていただいて、経済学とか心理学、かなり詳しく書いてあったんですけども、ああいった類の知識っていうのは、詐欺会社、特殊詐欺会社とか、組織犯罪をする人とか入念にやっぱり勉強して身につけてると考えたらいいんですかね。
夏原 そうですね。詐欺師っていうのは、下手な心理学者より人間心理に詳しい人が多いですよね。やっぱり実践で学んでるっていうことですよね。津森さんの専門で言うならば、法律っていうのは体系的なものですが、現場っていうのは横つながりで法律を使うってことが多くて、金融業者とかはその辺だけはやたら詳しい。そして、詐欺師は人間心理を読むことに関しては、非常に長けてますよ。だからこそ騙されてしまうわけで。
補足になりますけど、投資系の詐欺が起きる時っていうのは、郵便局とか、今はJPですか、郵便局とか銀行が新たな金融商品ってのを出す。それは海外のドル預金であったりとか、組み合わせとか、いろんな債権系が出てくる時に、詐欺師たちはそれを見て、それによく似たパンフレットを作って、よく似た名前を使って入るっていうパターンが多いんです。ですから、正式な金融機関がやっていることに似ているので、見分けが非常に難しい。しかも利率はちょっと上げてありますから。「これはいい」って言うんで、一時ものすごく被害が出たことがあって。最も郵便局はそれ自体がろくなことやってなかったわけですよね。ひどいことやったやつがバレたわけで。
そういうのがあって、詐欺っていうのは、本物のすぐ横にいるんですよ。そして本物のような顔をしてるんですよ。ですから、パンフレットなんかを見ただけでは見抜くのが難しい。そして、相手が今何を欲してるかを読み解く力、そういうもんに非常に長けてるんですよね。だから、人を褒めるのも上手です。「選ばれたあなた」っていうやり方。それから、その人のコンプレックスを見つけるのも上手です。コンプレックス商法ですよね。だから対峙したらなかなか勝てないです、詐欺師には。だから、僕は対峙しちゃだめですよと、接点持っちゃだめですよってことをいつも言ってるわけで。
津森 ありがとうございます。じゃあ、お時間がだいぶ迫ってまりましたので。それぞれ座談会の感想を述べていただこうかなと思って、締めに回していきたいと思います。
そうしたらですね。まず、ちょっと順番変えまして。渡辺さん、村井さん、夏原さんの順番でいきたいと思います。
じゃあ、まず渡辺さんからお願いしてよろしいでしょうか?
渡辺 はい。そうですね。今回の座談会に来て、本当に話してて思ったのが、何も知らないなっていう、自分が本当に。だから、そういうのに今まで接点がなかったりとか、それこそ投資やろうって思うきっかけも今までなかったなっていうんで。それなりに恵まれた環境なのかなと思いつつ。ただ、そういうのってこれから勉強していかないと、それこそ周りの人たちとかがそういうのがあるって言っても「へえ」って流しちゃって。その人がこう思っても何もできないだろうし、自分が巻き込まれてるってなっても、それに気づけないまま取り返しがつかなくなっちゃったりするかもしれないから、ちょっと怖いなって思うんで。もうちょっと勉強する機会が持てたらなって、今回思えたのがとても大きかったかなって思います。
津森 ありがとうございます。続いて、村井さんお願いいたします。
村井 まだまだ勉強不足だなっていうのはしみじみ感じました。やはり自分がまだ詐欺に遭ったことはないので、「ああ、詐欺の人ってこんなに頭がいいのか」っていうのは、先生のお話を聞いてすごくわかったような気がしますけど。「わかるだけでは多分ダメだろうな」と思いながら、これをやはり地域に広げて行かなきゃなっていうのは今日感じましたし、またこういう勉強も地域でしていけたらいいなって思いました。
津森 ありがとうございます。夏原さんお願いいたします。
夏原 はい。詐欺に関わらず犯罪っていうのは、2つの方向からの攻め口があって。1つはトップダウン、つまり法律そして官憲の力で抑える。
で、もう1つ、もっと大事だと思っているのは、ボトムアップなんですよね。皆さんのような地域性やコミュニティ性を持って活動をする人たちがボトムアップをしていく。そこに情報も与えていく。そしてトップダウンの系統の中の1つである行政とうまく繋がっていく。で、ボトムアップは、本当は弁護士会とかがもっと頑張ってくれたらいいなと正直思います。無料相談もいいですが、ボランティア的になってしまうんで難しいかと思うんですけれども、そういう地域性の中でもうちょっと専門家である法律職の弁護士さんが加わって、下から良くしていく、下から犯罪抑止をしていくみたいな考え方が僕は大切かなって、今日ちょっとお話してて思いました。
津森 ありがとうございます。最後に力強く背中を押していただきましたので。
最後に私の感想を述べさせていただいて、締めさせていだきます。今日座談会を通しまして、第1部の講演に関連してお話させていただきましたけれども、犯罪の実態というかですね、地元にも犯罪の芽がだいぶありますので、これを防ぐためには地元に根ざした我々が力強く動いていかないといけないと考えておるところでございます。今日のところで浜田で活動している2人に来ていただきまして、力強い活動をしておられますので、我々も島根県下全域に巡れるような活動をしていきたいと力強く思ったところでございます。
はい。それでは座談会は以上にさせていただきます。では、会場の皆様、登壇者の皆さんに拍手をお願いいたします。